* 『SAI』でらくがきメイキング(応用編) *


【応用編】…となっていますが、それほど大層なものではなくてですね(汗)

こちらでは、以前の【基本編】では紹介しきれなかった「小ワザ」集といいますか、
『SAI』を使う上で「この工程ではこういう方法を使うとラクになるよ」、みたいな
解説をメインにしていこうと思います。


・書いてある方法はすべて自己流です
・前回の【基本編】の内容ありきで話しています
・『SAI』の全ての機能を使いこなせている訳ではありません
・従って「この方法がベスト!」という絶対的なものでもありません


「それでもいいよ」という方は、今回もどうかのんびりとお付き合い下さい。
なお、文中のそれっぽい部分には「★」マークを付けておくので、参考までに。


 描いた日:2013. 06.12-07.01  メイキング公開日:2013.07.20


※右側にメニューが出ていない方は、先に こちら をクリックして下さい。※



*     *     *




今回描いていく絵はこんな感じ。(50%縮小)
実寸は840*1150px の 解像度200dpi。

今回もこれ以上にも以下にもなりませんので、どうか過度な期待はなさいませぬよう…



*     *     *



【作業工程とショートカット】

@ラフ

A下書き

B線画(ペン入れ)
  ・「輝度を透明度に変換」って?

C色塗り
  ・4-0:下準備(ベース)
  ・4-1:パーツ塗り分け
  ・4-2:細部の描き込み・色変更
  ・4-3:影・ハイライト
  ・服の「透け」感を出してみよう

D仕上げ色々
  ・5-0:色塗り・仕上げ
  ・5-1:主線を細くする
  ・5-2:全体の光と影・色味を調整
  ・5-3:その他最終調整


E完成!!



*     *     *



@ラフ



まずはラフを描いて、イメージを固めます。
ここで使うペンの種類や太さ、色はお好みで。

1枚のレイヤーでざかざかっと描いてしまうのもいいですが、


今回は、上半身(服のライン)・右腕の辺りがややこしくなりそうなので
★ラフからレイヤーを分けて描いています。
(肩まわりは逆に複雑すぎて、次の工程から分けようかなと…)

2枚目(中央)のレイヤーは、最終的に隠れる部分が多いので
重ねる時には不透明度を若干下げおくといいでしょう。


ちなみにこちらが背景。ツールでささっと描いただけです。
(今はとりあえず、不透明度を50%にしてあります)

すべてのレイヤーを重ねてみると…


こんな感じに。ラフ3枚は扱いやすいように
「レイヤーセット」(【基本編】参照)でまとめておきましょう。

前回も言ったように、ラフに必要なのは「分かりやすさ」と「線の勢い」。ただそれだけです。


現在のレイヤー構成。

序盤なので
まだまだシンプルですね。



*     *     *



A下書き



@の不透明度を下げて、上から細かい部分を書き足していきます。
ここでは「(【基本編】のAを参照)機能を活用し、
あらかじめ★ラフの線の色を変えておくと作業が楽になります。

この「下書き」を数回繰り返す事もあれば、前回のように
ラフからいきなり清書に入る時もあります。気分次第です。


「ペン入れの時に形を把握しやすくする」ための下書きですから
最終的に見えなくなる部分(胴体など)の線も、しっかり取っていきましょう。

ラフの線が活かせそうな部分は、そのままにしておいても大丈夫です。



下書きの線も、完成後に不透明度をいじって
他の色に変えておきます。(今回は=ラフ、=下書き)


現在のレイヤー構成。

下書きが終わったので、
ラフレイヤーは統合しました。


ちなみに、普段はここまで丁寧に
レイヤー名を付けたりはしません(笑)



*     *     *



B線画(ペン入れ)



時間と根気が一番必要になる工程です。辛抱強くいきましょう。

ある程度進んだところで、右図のように★一旦色を流し込んでみたり、
★大まかな影を付けてみたりすると、全体のシルエットを把握しやすいです。


ペンの種類はどれでも構いませんが、私はラフ〜色塗りまで大抵すべてです。の時もあります。

(※1)但し!ペンの色は、最終的に線画の色を変える場合でも
ここでは☆真っ黒(#000000)を使う事をオススメします(理由は後述)。

※1:以下しばらく、線画を 【「鉛筆」(不透明度100)・『通常』モード】 で描く場合の話になるので、
普段から【「筆」ツール】や【『乗算』モード】をお使いの方は、かるく流して頂いても構いません。
(まったく役に立たない、という訳ではなさそうですが…)




完成した線画は、大まかに分けてこの6つ。
細かい部分はさらに分けて、パーツ毎に「レイヤーセット」でまとめてあります。
ちなみに数えたら、線画だけでレイヤー17枚使ってました。うわー…(いつもそんな感じです)


下書き同様、ここでも『最終的に隠れる部分』まで描き込んでいる所に注目です。
中央上の「身体」レイヤーが特に分かりやすいですね。

当然、これらをこのまま重ねると…


こうなります。…首周りが特にカオスですね。

もちろん、この状態で統合すると取り返しのつかない事になるので駄目ですよ(笑)


ではどうするのかと言いますと、


こうします。
(分かりやすいように、一時的に背景を青くしてあります)

」や「」を活用して、隠れる部分を
パーツ毎に☆「消しゴム」で消すのではなく、上から白(#FFFFFF)で塗っていくんです。


(※2)この状態で線画を統合し、そのレイヤーを選択した状態で

 の項目にある 「輝度を透明度に変換」 を…


押すだけ☆PON!!!(やかましい)


これで線画のできあがりです。よかったね。
(実際の見かけ上は右図のようになります。2枚は同一のものです)

右側クリックで「白消し」前の状態が出ます。比べてみると超スッキリしましたね。

※2:ちなみに【線画は『乗算』モード】派の方は、ここで「輝度を透明度に〜」を使わず
「白消し」後のレイヤー(統合前)をそのまま『乗算』にする事で、ほぼ同等の結果が得られます。


ところで、この「輝度を透明度に変換」。
【基本編】の「文字入れ」の所でも出てきましたね。

どんな機能なのか、もう少し詳しく見てみましょうか。(ページ下のほうにジャンプします)





・     ・     ・



…とその前に、こちらが現在のレイヤー構成。

ほとんど統合させずに
書き進めた結果がこれだよ!!


「ベース色」と「影(ラフ)」は
線画の最初で使ったやつですね。
「ベース色」はそのまま色塗りの下地に、
「影(ラフ)」はここで削除…するつもりでしたが
結局あとで使い回しました(笑)

それと、この統合前の「線画レイヤー」も
後で線画を修正したい時のためや、
(今回は)別の工程でも使う事になるので
非表示にして、このまま残しておきます。

いらねぇよ!っていう潔い方は
ここでサクッと消してもいいです。


「腕_白」っていうレイヤー名が
ちょっと面白かったです(わんぱく)

あと「首_白」が「自首」に見える




大きめサイズで途中経過。(背景+線画のみ)




←BACK /
↑作業工程へ / NEXT→



・     ・     ・



■ 「輝度を透明度に変換」って? ■

(以下、本筋とはあまり関係ない補足説明のみなので、飛ばしたい方は 次のページ へどうぞ。)




まず、この場合の『輝度』とは何か?という説明から入りますが
簡単に言えば、色そのものが持つ「明るさ」の度合い(※)、のことを指します。
「明度」という言葉もありますが、それとはまた別のものです。(この辺りがややこしい)


例えば上図の 青「」・赤「」・黄「」 を比べてみた時に

青「」 と 赤「」 なら 赤の方が明るい「」。
赤「」 と 黄「」 なら 黄の方が明るい「」。

…というような事は、何となく感覚で分かって頂けるんじゃないかと思います。

※厳密に言うと、この説明は正しくないんですが、詳しく話すと
それだけで長くなるので…興味のある方はググったらいいとおもいます(ごめんなさい)


で、この「輝度を透明度に〜」というのは、その『輝度』が高い(=明るい)色ほど
透明に近いグレースケール(白黒)に、一発で変換してくれる機能になっていまして、
上図では『輝度』の高い黄色ほど「●」が透けて、下にある熊猫の絵が見えていますよね。



本題の絵に戻りまして。

これによりメイキング内では、線画の黒「」部分=不透明度100%に、
白「」部分=不透明度0% に変換され、うまく線画の透過処理ができた訳ですが。

この時、線画に黒(#000000)以外(黒よりも『輝度』の高い色)を使ってしまうと
この機能によってモノクロ化してしまう上に、線そのものまで半透明になってしまうので
使う色には注意する必要があったんですね。

…まぁ、線画を【「筆」ツール】や【『乗算』モード】にする方にとっては
「線画は透けてて普通」という感覚だと思いますが…(´д`;)<↑は極端すぎるけれどもw




・     ・     ・



話はさらに脱線しますが…




じゃあそもそも何で、余分なところを直接「消しゴム」で消さずに
「白で塗る⇒統合⇒輝度を透明度に変更」という面倒な方法をとるのか、という所ですが。


例えば線画を描き終わった後、途中でふいに気が変わり


『やっぱりこっちのほうが良いかも…』


…と思ったりしてしまう事、ありませんか?

(私は「ありすぎて困る」タイプです)


この「白消し」の利点はなんと言っても、「消しゴム」で線ごと消した時とは違い
『(見かけ上は)消えた部分が、レイヤー上には残っている』という所でしょうか。


つまり、こんな時でも…



「白消し」なら、該当部分の白を消して
足りない部分(赤線)を、ちょこっと書き加えるだけで…


ぱぱーん。
やや違和感がありますが、一例なのであまり気にしない方向で…;

と、このように(分かりづらいかも知れませんが)、
一度消した線を改めて書き直すより、少ない労力で修正がきき
変更後のイメージも、手っ取り早く掴む事ができるのです。

要するに、【基本編】の「クリッピングをマスターしよう!」で言っていた
『後からいくらでも修正がきく』という利点と、ほぼ同じ理由だったんですね。



こういった「修正のリスク」を軽減する事は、絵を描く上での
モチベーション維持のためにも、わりと重要になってきたりしますので
一見面倒くさそうでも、試してみる価値はあると思いますよ。


つまるところ、絵を描く時は 『効率よくサボれ!』 …という事でしょうかね(笑)




←BACK / ↑ページの一番上へ / NEXT→